9月29日イスラエル・ガルバン「エル・フィナル・デ・エステ・エスタド・デ・コサス」

アルカンヘルやモネータなどの素晴らしい公演を楽しませてくれ、この一ヶ月で愛着がわいた、ミハスのラス・ラグーナス劇場での公演もこれが最後。
イスラエル・ガルバン、注目の新作とあって、いつもがらがらだったプレス用のバスにもかなりの人が乗り込む。会場でもこのフェスティバルでめったにみかけなかった日本人アフィシオナードの顔をかなりみかけた。アルカンヘルのときのように満員とまではいかないまでも8分の入り。ジェルバブエナやベレン・マジャ、ホセ・ルイス・ロドリゲスなどアルティスタの顔もたくさん。彼の注目度のほどが知れようということだ。

なにから話したらいいのだろう。
かつてないほどオレ!を連発。
じっとしていられないほどに私を興奮させ、そしてうちのめしたこの公演のことを。

テーマはアポカリシス。黙示録である。
世界の終末。こどもの頃から聖書を身近にして育ってきた彼の終末。それははじまり、でもあるのかもしれない。

プレファシオ、前書きと題した場面ではじまる。
サックスと太鼓のデュオとともに登場したイスラエルはバレエシューズで踊る。
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コンパス。絶妙な間合いで決まる、その姿の、動きの美しさ。
いつもにまして速い動きがとまった瞬間のここちよさ。オレ!を叫ばずにはいられない。感覚の良さが、こちらにもなんともいえない幸福感をもたらすのだ

続いてビデオ。イスラエルのクルシージョの生徒の一人だという、レバノン人、ジャルダ・ジョウネスによるバイレは、イスラエルの振付けを、イスラエル国がレバノンにしかかた空爆の音をバックに踊ったもの。空爆で亡くなった友を悼んだ曲だという。彼女からの手紙の言葉がビデオに重なる。
たしかにそこにあるのはイスラエルの振りなのであるが、彼女の心からでてきた、彼女自身を表現する、彼女自身の振りとして昇華されているのがすばらしい。表面的に振り付けをとるのではなく、自分のものとする。それは可能なことなのだ。
それにしても、である。空爆の音とイスラエルの振りの合致は恐ろしいほどだ。

さて本編。プリンシピオはじまり(A)と題された場面。
アルフレド・ラゴスの美しいギターが響き、ディエゴ・カラスコがクリスマスなしのビジャンシーコ(スペインのクリスマスソング)を次々に歌い、それをイスラエルが踊る。そのフラメンコ性。
曲がサルベ・ロシエーラにかわると、ロシオ巡礼につきもののタンボルとよばれる太鼓をもったイスラエルが登場。
バックがフラメンコのグループから現代音楽の小合唱団に変わる。声明をおもわせるような彼らのボーカルで踊り続けるイスラエル。
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聖週間の行列にみられる、覆面姿で演奏するセビージャのハードロックグループ、オーソドックスの演奏でテレモートが歌うトナー、そしてサエタ。
ハードロックで踊るイスラエル。踊り続ける。
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一部の最後にはベルディアーレスを演奏するグループも登場。フラメンコのグループとかけあいでベルディアーレスを歌ったいたのだが、最後はタランテラへ。イタリアの舞曲であるこの曲は毒蜘蛛にさされた毒を抜くまで踊り続けたことにはじまったともいわれるのだが、音楽が続く限り踊り続け、終幕、バイオリン奏者の腕をとって音楽を止めようとするイスラエルに、赤い靴の伝説が重なってみえるようだ。


休憩をはさんでの二部はイスラエルのブトウ、舞踏にはじまる。マスクをつけた彼が上半身裸で踊る。この夏、大野一雄の弟子をよんで研鑽をつんだだけあって、すごくいい。
シギリージャがはじまる。
ゆれる台の上で彼が踊るとおいてあった金属製のコップやカホン、塔のように積まれたCDなどが倒れる。地震、とプログラムには記載されてあるが、塔の崩壊は9月11日を思い起こさせる。終末の到来?断末魔の叫び?
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純白の衣装のディエゴ・カラスコが語り、歌う。白い悪魔。
「山と海のあいだには空虚がある…」
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棺桶をかついだ詩人、ダビ・ピエルフォルがやってくる。彼が入り込んだ棺の上で踊るイスラエル。
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やがてイスラエルも棺の中に入り込みそこで踊りはじめ、もうひとつの棺でフアン・ホセやテレモート、ボボーテがリズムをとる。
棺の中での、断末魔のような、イスラエルのソロ。その表情。こんなにすごい踊りを今までにみたことがあったろうか。。。
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イスラエル・ガルバンの天才をあらためて強く感じさせるそんな公演。
途中から写真をとるのも忘れて、ただひたすら見入ってしまった。
また観たい。何度でもみたい。そんな気にさせる数少ない作品/アルティスタだ。

El final de este estado de cosas
Israel Galván
guitarra;Alfredo Lagos
cante; Diego Carrasco, Fernando Terremoto, Juan José Amador,
baile, palmas y compás; Bobote
percusicíon; José Carrasco
poeta; David Pielfort
Orthodox, Panda de verdiales, Proyectole, Proyecto Lorca

;álaga en Flamenco 07 siete nuevas producciones
29 de septiembre, 21:00 Teatro Las Lagunas, Mijas
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by kiokos | 2007-09-30 22:09 | 公演評  

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