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9月27日「シエテ・マレス」

8時から、マラガ高等音楽院内にあるコンサートホール、サラ・ファジャでのコンサートは、マラガ県立オーケストラとフラメンコ・アーティストの共演。

第一部はアントニア・コントレーラ。ご当地マラガの歌い手で、フランスのオーケストラと録音したばかりだという「恋は魔術師」(1915年のオリジナルバージョン)をマラガのオケで歌ったわけだが、うーん、どーなんでしょー。
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このオリジナルバージョンは、歌だけでなく、語りがあるのだが、口跡がわるく、言葉がきちんとききとれないというのは致命傷。歌のほうも、ガデス主演の映画「恋は魔術師」でのロシオ・フラード風なのだが、いかんせん…。
このバージョン、ほかの人できいてみたいものであります。

第二部はマラガ在住のギタリスト、アントニオ・ソトのフラメンコ曲をベースにした交響楽団のための組曲「シエテ・マレス」。これがまたなんとも…。
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全体的にはビセンテ・アミーゴの「ポエタ」をイメージしたようで、曲のすすみかたや構成のあちこちに影響が見受けられる。とくにタランタやサパテアードの入ったアレグリアスは顕著。だが、こちらもいかんせん…なのです。フラメンコ・パーカッションもはずすはずす。カンテも音程をはずす。パルマスも同様。ま、オーケストラもアマチュアのようで、決してうまいとはいえないのですがね。

というわけで、残念ながら…な2時間でございました。

Siete Mares
primera parte
cante; Antonia Contreras
segunda parte
guitarra; Antonio Soto
Orquesta Sinfónica Provincial de Málaga

Málaga en Flamenco 07 Siete Caracolas
27 de septiembre 20:00 Sala Falla

# by kiokos | 2007-09-28 16:42 | 公演評  

9月26日アルカンヘル「サンブラ5.1」

ミハス、ラ・ラグーナ劇場での公演は、ウエルバ生まれ、ミゲル・ポベーダとともに若手カンタオールの牽引力となった歌い手、アルカンヘルによる、マノロ・カラコールへのオマージュ。

少年カラコールの1922年グラナダのコンクールで歌った曲、シギリージャ、ソレア、サエタをなぞる第1部、
40年代のカラコールの主なレパートリー、ファンダンゴス、アレグリアス、ブレリアスを歌う第2部
そして50年代の彼のレパートリーである、サンブラ、マラゲーニャなどを歌う第3部。
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(オフィシャル写真)
これが休憩なしで流れるようにすすんでいくのだ。合間にはビデオがはさまれる。
そのビデオのなかには、アルカンヘルと公私ともに仲の良いエストレージャ・モレンテの夫、ハビエル・コンデが闘牛場でムレタさばきをみせるものも。

アルカンヘルの歌唱力についてはいまさら書くべきこともないかもだが、しょっぱなのシギリージャからしておおむこうをうならせるのはさすが。
音程のよさはもちろんだし、とくにリガール(音と音をつなぐ)のセンスがすばらしい。

ギター伴奏はミゲル・アンヘル・コルテスとダニ・メンデスの二人。
彼らが交代で登場する。ゲストのダンサー、パストーラ・ガルバンのアレグリアス、サンブラが絶品。とくにバタ・デ・コーラのアレグリアスは華丸もん。

最後は自らの声やパルマスをサンプリングしてかさねていくシギリージャ。
これもお見事!のひとこと。

ZAMBRA5.1
Cante ;Arcangel
guitarra; Miguel Angel、Dani Mendez
percusión; Chico Fargas
piano; Dorantes
Baile; Pastora Galvan

Málaga en Flamenco 07 Siete nuevas producciones
26 de septiembre, 21:00, Teatro Las Lagunas Mijas

# by kiokos | 2007-09-28 00:46  

9月25日「カディス」

セルバンテス劇場での公演はこの9月に地元で初演されたばかりの「カディス」
アンダルシア州文化局の制作の大作である。
もともとは1933年にラ・アルヘンティニータによって初演された「カディスの通り」の再現をめざしたものだっただったように記憶してるのだが、結局、それに想をえて、カディスらしいフラメンコ作品を、ということで制作されたようだ。

舞踊のメイン、かつ振付けはエル・フンコ。ゲストでマリア・ホセ・フランコ、ロサリオ・トレド、アナ・サラサール。歌はマリアナ・コルネホ、カルメン・デ・ラ・ハラ、エミリオ・フロリド、ミゲル・ロセンドとダビ・パロマール。ギターにケコとリカルド・リベラ。これに群舞と、合間合間に寸劇をみせる二人の俳優(実はカディスのカルナバルのグループのメンバー)という総勢21人。装置も、照明も、衣装もきれいだ。

が、肝心の内容は、というと不満が残る。前日にあまりにも質の高い舞踊をみたせいもあるかもしれないが、群舞のレベルの低さはもちろん、フンコやロサリオにしてもいつもの調子がでていないようにみうけられ残念。そのわりに踊りがしめる割合が多く、群舞のメンバーまでソロをえんえんと踊るのには正直辟易。
それにカディスらしさをかんじさせてくれる歌もマリアナのアレグリアスくらいで、どーも底が浅い。
チャノ・ロバートやランカピーノ、フアン・ビジャールやパンセキートがいたらなあ、と思ったのは私だけだろうか。
盛り上がったのは一部の最後のタンギージョ(これも振付けに昔ながらのタンギージョをフューチャーするとかするともっと面白くなったろう)。
そして俳優二人の寸劇!
ペリコンやベニなど、カディス出身のアルティスタたちの挿話に材をとってのものだが、これがうまいし、カディスの雰囲気をよくだしているのだ。
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16世紀にカディスにフラメンコの楽譜がたどりついたというペリコンの珍説や潜水艦をつりあげた話など、爆笑まちがいない。

港に船がつき着飾ったアーティストがおりてくるオープニングははなやかだが
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そのあとがテンポがつづかない。唯一、前述のタンギージョや
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フィナーレのカディスのブレリア、でもりあがるだけ、というのも残念。
(お盆を頭にのせて踊るロサリオは最高!だったけど)
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フラメンコはむずかしい。。。ですね。

Cádiz
baile; El Junco, Rosario Toledo, Ana Salazar, Maria José Francoほか

25 de septiembre, Teatro Cervantes, Málaga

# by kiokos | 2007-09-26 21:23 | 公演評  

9月24日「フラメンコ XXI オペラ・カフェ・イ・プーロ」第2部

往時のセビージャを描写する旅行記の朗読をコンテンポラリー風に踊ってはじまる二部も充実。
ハシント・アルマデンの録音で踊ったラ・カーニャは、ピラール・ロペスが映画「フラメンコの神秘と魔性」で、アレハンドロ・ベガとパレハで踊っているもので、フラメンコ舞踊のお手本とでもいうべきもの。
そのカーニャがマルティネーテやペピータ・ヒメネスと交差しながらすすんでいくという構成もなかなか洗練されている。
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第一部のグアヒーラ同様、三人の男性舞踊手によるファルーカもすばらしい。
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ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、マヌエル・バジェーホ、ニーニョ・リカルドの3人をフューチャーしたシーンでは
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タランタをコンテンポラリーで踊るのもいい。

マイルス・デイビスにのせての全員での群舞。そしてマノロ・カラコールのサンブラによるフィナーレ。
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最後のマルティネーテは、マイレーナ.カラコール、タレガの歌の音程までしっかりあっているのにびっくり。
フラメンコをあいしてやまない、ラファエルと、バレエダンサーも脱帽の見事なテクニックと表現力をもつナニは、今回もヘレスに引き続き、やってくれました。
しっかりと基礎をみにつけ、踊りで表現したいという気持ちに満ちたダンサーたち。
これはもうスペイン国立バレエ団以上の存在だ。
彼らの公演があちこちでみることができるようになりますように。

Flamenco XXI ; Öpera, Café y Puro
baile; Antonio Ruz, Concha Jareño, Rafael Estévez, Nani Paños,Gala Vivancos, Moisés Navarro, Encarnación López, Raquel Lamadrid, David Coria, Cristian Lozano, Laura Rozalén,Älvaro Paños, Rosana Romero, irene Lozano

Málaga en Flamenco 07 siete nuevas producciones
24 de septiembre 21:00 Teatro Las Lagunas, Mijas

# by kiokos | 2007-09-26 20:18  

9月24日「フラメンコ XXI オペラ・カフェ・イ・プーロ」

ミハスのラ・ラグーナ劇場での公演。
ウエルバ生まれのラファエル・エステベスとコルドバ生まれのナニ・パーニョス。
マドリに住み、メルチェ・エスメラルダやクリストバル・レジェス、マノレーテらの舞踊団で活躍し、自らのグループでも公演をしているこの二人。今年3月、ヘレス・フェスティバルでも、エスクエラ・ボレーラからネオ・クラシコ、フラメンコまで網羅した「ムニェカス」という、今年のフェスティバルの最高作をみせてくれた彼らがまた、すごいことをしてくれた!

この素晴らしすぎる作品について、いったいなにから話しはじめたらいいのだろう。
ダンサーたちのレベルの高さ? 
振付けのクオリティ?
SP録音を多重構成するなど、こりにこった音楽?
古い振付けをただそのまま再現させてみせるのではなく、現代の空気をとりいれ、リノベートしていく、そのセンスの良さと意味?
フラメンコとそれを囲むスペイン舞踊の多様性と魅力?

どれについても話しはじめたら終わりそうにない。

結論からいおう。
ひとくちにいえば、フラメンコの歴史を目でみせて体感させてくれる作品である。
音楽はすべて録音。アントニオ・マイレーナ、フアン・タレガのトナーに、マイレーナやパストーラ、チャコン、トマス・パボン、マルチェーナの声がコーラスでかぶさるというオープニングをはじめ、かなりこったつくり。
続くシーンでは、とりどりの衣装の女性たちがピアノで踊る。
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ガロティン、ファルーカ、グアヒーラス、タンゴス…どれもカフェ・カンタンテ時代のレパートリーだ。
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短いエスクエラ・ボレーラをはさみ、
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古風な踊り手たちも現代風のリズムで踊る。
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続くシーンでは、映画ブームをイメージしたホリゾントをバックに3人の男性がぺぺ・マルチェーナがうたうグアヒーラを踊る。これがまたすばらしかったのだ。まずは写真をみてください。
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踊っているのは、左からダビ・コリア、ナニ・パーニョス、クリスティアン・ロサーノ。ダビとクリスティアンは国立バレエ団出身で、とくにクリスティアンは「フエンテオベフーナ」などで主役をつとめていた実力派だ。
彼らの姿の美しいことといったらない。
指の先からつまさきまで細やかな神経がいきとどいている。足をあげたときのつまさきの位置ひとつで踊りは決まるのだ。
グラン・アントニオやピラール・ロペスなどの大舞踊団時代を思い起こさせる、古風な振付けがベースだが、ここでも新しい感覚があちこちに顔をだすのがうれしい。
単なるコピーにおわっておらず、新しい命を与えているのだ。

ラファエルのソロはカーニャ。ラモン・モントージャのギターを踊る。
そのモントージャがサックスと共演したミロンガはアルゼンチンタンゴの雰囲気で踊られる。
そしてタンギージョ!
ラ・アルヘンティーナの、古いフィルムのタンギージョを復刻させた。無伴奏で、カスタネットだけが響くのは、映画が無性映画だったせいだろう。
暗闇で二人羽織風に踊るサンサーンスの白鳥の次はセギリージャ。
グラン・アントニオとロサリオの踊ったこの曲をみごとに再現する。
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アントニオを実際にみたことがある人は少ないだろうが、映画やビデオ、または写真などで目にする機会は今もある。それを見た人ならうなること間違いなし、だ。
ポーズのひとつひとつが、写真集からぬきでたかのようだ。

と、ここまでが第一部。

# by kiokos | 2007-09-25 19:13 | 公演評